こぶれ2018年8月号
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みどりの風著・三軒茶屋ニコ 久しぶりの晴れ間、そして梅雨明け宣言。 例年より十日ほど早いとか。 極寒もこたえたが酷暑の夏も怖い。 夏休みなど子供時代は、夏は楽しみだったが加齢とともに暑さも体にこたえ敬遠のシーズン。情けなくもあります。 小学四年、対馬の小学校の授業で初めて俳句と出会った。 で「夏風に おおきくゆれる てんま(伝馬船)かな」。 初めての句作。五七五を指折り数えながら夢中で作りました。 TBS系、木曜日の「プレバト」。芸能人の俳句競作が人気を集めています。 ユニークな講評の俳人・夏井いつき先生に言わせると「自然な子供の目で夏の風物を素直に詠よんでいる」と素そっ気ない講評が飛び「素質はどうか」とやられそうで。 その後、俳句にはご縁がございません。初めてで最後の一句となりました。 その代わり対馬の海で人間浮き袋をおぼえました。 当時、対馬海峡は朝鮮戦争のあおりで機雷、魚雷が海を漂い、漁船がそれに触れ爆破など子供心にも、身の危険を感じていました。 博多――厳原を通う定期船、老朽貨物船だった対州丸。 父に「あの船など当たればすぐに沈む」とおどされ、夏の海で猛特訓。 古式泳法、小堀流にあったのかどうか「まず口をいっぱいに空気でふくらませ、それを呑み込め」。 結局、「胃を空気でいっぱいにし、海の中に入り、胃を上にし浮くこと」が人間浮き袋。 鼻を水面に出し背泳ぎの要領でやれば……なるほど夏休みの終わりには、そのコツも体得し人間浮き袋になりましたな。 実際に荒海での経験は皆無ですが、海に漂うことはできます。 父からの教えが本物かどうかの疑問はありましたが、夏が過ぎると忘却。 ところが数年前、古本屋で安部譲二さんのエッセイ風自伝「六十歳からのやんちゃ道」(ワイアンドエフ社刊)を手に入れ、人間浮き輪のテーマで記載され、驚きました。 東京・青山の大地主で鑑定家・青山二郎さんからの秘術として紹介されていました。 父から教わったように胃を空気で膨れ上がらせ、足と頭が下がらないようにし、水中では自然体で両手を腹の上にのせる(そうすると首に力が楽に入る)と楽々と浮く。 港区のプールで試演。成功です。 この秘術を青山さんはインドの仙人から教えてもらった。 伝えていいのは一代に一人。それも男だけ、と安部さんはこの事の厳守を命じられた。 でも本に公開するのは、どうなるんですかな。 今夏も孫が東京から来崎。小学五年だからそろそろいいんでは。 でもネ、1分1秒を競うのが現代の水泳。 こんな泳法が気に入られ、興味を持ってもらえるかはとても疑問です。 「バカみたい」と一笑されるのがオチかも。 人間浮き袋2

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