こぶれ2017年11月号
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みどりの風著・三軒茶屋ニコ 春の選抜高校野球選定の一つ、秋の九州高校野球県予選は創成館が長崎商を破り優勝しました。 県内野球ファンにも、もう一つ大きい楽しみがあるんです。 かつて清峰の春夏4度の甲子園出場の原動力そして平成12、13年に佐世保実業の監督として夏の甲子園出場と県内一、二を争う指導者、清水央彦さん(46)が、西海市の大崎高野球部の外部コーチに就任したことだ。 佐世保実業野球部の部内不祥事で日本野球協会から謹慎処分を受け、以後、清水さんは野球から外れていたが、その投手育成をはじめ、指導力は、本県球界の〝財産〟としてファン、関係者をヤキモキさせていた。 処分解除後、去就が注目されていた清水さん。約4年ぶりにユニフォームを着るきっかけは、西海市職員になったこと。 崎戸町は五島灘に面し佐世保から船便1時間半、同町蛎浦島は、かつて県北一帯に広がる炭田の主力鉱で三菱崎戸炭鉱で栄えた島。 最盛時に従業員7千人(昭和19年)、過去の繁栄を持ちながらも同市の人口は3万人をはるかに割っている。 「この地を往時の崎戸町に……」と元市長の田中隆一さんが考え、託したのが子供たち。 唯一の大崎高校に「野球部を強くし甲子園へ」と数年前、清水さんはコーチを打診されていた。 大好きな野球を絶っていた清水さんは晴天のへきれき。 離島のハンディなど困難ばかりがそろっている。考えあぐねていた清水さん、市職員からのスタートに意を決した。 約4年ぶりの現場復帰は大崎高外部コーチとして。その野球部は現在1、2年生5人。 先の九州高校予選では、平戸高との連合チームで長崎北に7―0で敗れた。 まずは9人のメンバーでの単独チームづくりからだ。甲子園への遠大な第一歩が始まります。 崎戸の島は、郷愁みたいにひかれるものが……。 炭鉱から作家・井上光晴さんが出た。海底炭鉱が文学の原点だという。その娘、荒野さんも「切羽」で直木賞。 父は「地の群れ」「虚構のクレーン」などで有名。佐世保で始めた文学伝習所は全国に広がった。 世界に冷凍技術を誇った元日本冷蔵社長―会長だった朝長巌さんもいた。筆者と姓は一緒だが血縁ではない。 ただ旧制大村中学時代の硬派仲間で親友だったのが、父の唯一の自慢のタネでしたな。 筆者と蛎浦の縁は、浅間神社、嬉野紀孝宮司とのつき合いのたまもの。いろんな教えをいただきました。 同神社に自宅の桜3本を寄贈したのも、この地との縁故を深く濃くしましたよ。 文学、財界、博学の宮司さんなどすばらしい人がいるんだから、甲子園優勝監督が出てもおかしくない風土ですな。 そうそう元長崎新聞運動部長、山内浩さん(69)の奥さんも大崎高出身。 ご夫婦に「こぶれ」を毎号読んでいただいているが「表紙の写真を撮る人の人柄を感じる」と。 山内さんはカメラもプロ級でした。 ついでに筆者にも「文章も年輪を重ね、厚さ深みを増し、磨みがき培ってこられた人柄がにじみ出ています」と山内大兄のお褒め言葉を締めにさせていただきます。 ちとあつかましいかな。西海市から甲子園だ2

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