こぶれ2020年4月号
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みどりの風著・三軒茶屋ニコ 新聞記事で10行に満たない見のがしてしまう小さな記事をベタ記事といいます。 社会面を飾る大記事と違い、紙面の片隅にある短信。読者の目も届かない地味な存在です。 最近では新型コロナ感染症拡大に関する小中高の一斉休校などが紙面を大占拠、ベタ記事にはほとんどお目にかかりません。 ことに外交記事は昔からダイヤモンド原石の宝庫だとされているのですが、ここもウイルスで……。 各紙が打ち合う大ニュースとは違い、現場の熱意やニュース感覚で本来ならベタ記事並みのものを、原石からダイヤモンドにしたものを探してみます。 その一つが投書欄。投稿する一般の読者の人生の生きがい、行動など質しっ素そで地味ですが地に足のついたものが、大ニュースに負けないものが山積。 ある日の投書欄に眼を通すと「感染症で大混乱 政治に不信」(男75歳)、「希き薄はくな討論 説明責任は果たせ」(男73歳)、「異常な買い占め 対応冷静に」(男65歳)など一般記事で取り上げねばならないことを鋭く追及しています。 ヤルナ! 素人記者さん、脱帽です。 さらに「生活にラジオ生かしてみて」(男59歳)、「消費税増税 失敗認め転換を」(教員56歳)。 プロの記者より手て厳きびしい意見も。記憶にあるのでは「郵政本業不振 民営化が原因」(男71歳)、「心身充実するバドミントン」(男71歳)。 長年腰痛で悩まされたがバドミントンで楽になった。なんでも始めて21年。健康長寿を地で行く見本。他の老人にも大きな元気を与えたでしょう。 若い人にもその場を設けた「若い広場」。年令のバランスも。 「海外学生と交流し意識改革」(18歳)、「手術をきっかけに看護師夢に」(18歳)。 読んでいるうちに明日は大ニュースに化ばけるかもしれないアスリートやアイドルの原石を探すような気持ちになりました。 字数500字。まさにベタ記事が大ニュースを打ち負かすようです。 記者が書くコーナーに「記者の目」。 昨春、新聞記者になった新人。記者が小学校時代、取材に来た記者と授業を受け、給食を食べ、遊びも。その記事の連載が縁で入社を決めた。 「新聞離れと言われているが地元長崎を多様な角度から見られる仕事に心から魅力を感じている――」。 最近、小学5年を対象に新聞記者について授業をする機会があった。 「一日に何本の記事がありますか」「取材中、何を心掛けていますか」と次々に質問攻め。子供たちの好奇心に驚かされた。自分の小学校時代を思い出したとか。 「心から魅力を感じる仕事」と言っているように、新人記者の原石が次代の原石を探すような〝ベタ記事〟。 筆者はベタ記事に神が宿る、と実感です。ベタ記事2

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