こぶれ2020年12月号
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みどりの風著・三軒茶屋ニコ 歳時記の「師走」の項をくってみました。 極きょく月げつ、臘ろう月、春待月、梅初月、三冬月、弟月などの語がならんでいます。十二月の異名。 これらは似た意味を持つが、微妙な雰ふん囲い気きの違いもあるようです。 なかでも極月。その一年がまさに極きわまり、徐々に幕がおりていく実感があります。 山口青邨の 極月の   人々人々    道にあり この月の縮図をみる思いですが、今年はコロナ禍でどんなものに。 中国の猟月から転じたのが臘月。文字どおり猟をして獲物を祖先の霊に供え、子孫の繁栄を祈る月だった。 臘月や  事務卓上の      花の塵ちり 西島麦南の句だが、年の終わりの流れを感じる名場面です。 師走の語感は、人々が右往左往するイメージが浮かびます。 僧(師)が忙しく走り回る「師はせ回る」から出たとされる。また「為しはせ月」(一年の終わりの月)が転じたとも。 「しはす」を仕事が終わる、とする意もある。言い得て妙だ。こんな諸説紛々も師走ならでは…。 芭蕉の句に 旅寝よし  宿は師走の     夕月夜 がある。 芭蕉の晩年、四十一歳の時、江戸を出発して西上の旅に出た。旅先の大阪で病死するまでの十年間、どの地で詠よんだのか、人生の終着駅へカウントダウンの響きが…。 筆者も先月の「軍艦島」で月のことを隠れたテーマにしましたが、月をながめるのがとても楽しい。ふと切なくもなりますが、それも風流かと。 十月も十三夜、小望月、満月と寒さが迫る月末の夜に立ち尽くし堪たん能のう。芭蕉サマなど大文人の足元にも及びませんが、風流という文化は無料、入場料のないタダです。 お金の話になると、現実回帰です。 凡人の浅はかさですな。無料の師走の月もじっくり拝月です。 師走の風物詩は年賀状の販売にも。子年の終わりを実感。 さて次のウシ年は。 大きなプレゼントがありました。本欄でも二回ほど取り上げた大崎高校野球部。離島、過疎地、名伯はく楽らく(監督)懸命の球児など絵になる舞台、役者がそろい構図もいい。 秋の九州高校野球大会で初優勝。九州チャンピオンで春のセンバツ出場は確定だからです。  師  走2

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