こぶれ2021年3月号
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みどりの風著・三軒茶屋ニコ 新聞一面の左下にあるコラム欄。 朝日の「天声人語」をはじめ毎日「余録」、長崎新聞「水や空」など。 各紙の新聞記者が、今度は論説委員として健筆をふるう売り物で見せ場のコーナー。 率直に言えば、世の中、極めておかしいのに各紙とも〝料理〟がヘタで 平凡な万人向けの口に合ったものにしたのか、これと言ったものがないようです。 こうした一般紙の流れの中で、農業専門紙・日本農業新聞の「四季」を注目しています。 その一つに四季(1月19日付) 書き出しがいい。江戸時代の俳諧師、井原西鶴の言葉に、「人間は欲に手足のついたるものぞかし」を引用。 人間は誰にでも欲があり、その欲望を満たしたい誘惑に駆られる。そんな人間の「さが」を表した。 なんや道徳の説教でも、と思っていたら「地獄の沙汰も金次第」と格言を重ね、きれい事だけの世の中ではなかろう。 と前置き、少々長めだがズバリ本論に。 「政治とカネ」。元農相の吉川貴盛氏が収賄罪で東京地検に在宅起訴された。在任中、大手鶏卵業者「アキタフーズ」前代表から現金500万円を受け取った、とされる。 大臣室を現ナマの受け渡しに使うとは言語道断。農林行政がゆがめられたとは思いたくないが、国会での究明が必要だろう――と締めくくる書き手の厳しい顔が浮かびます。 もう一つ四季(一昨年7月26日) 安倍一強が続く。この病巣は「忖そん度たく政治」を招き「忖そん度たく報道」につながっていないのか――論説委員の熱い意気込みがわかります。 いきなり決めゼリフが登場。 「メディア、お前は戦っているのか」とガツンときます。岩波書店オピニオン雑誌「世界」連載「メディア批評」の主要論評を網羅した――をぶっつけてきます。 森功氏の「官邸官僚」(文藝春秋)も取材の深くて暗い闇を照らす。官邸は権力を自在に操あやつるため官僚の人事権を掌握したが、その選考過程は「ブラックボックス」だと指摘する。 2019年公開の日本映画「新聞記者」は(実在の)東京新聞記者と官邸の二重写しになる。 筆者もずいぶん昔、島の支局に勤務中、映画館がないので話題作、米政権の不正と戦うワシントン・ポスト紙新人記者の奮闘を描いたウォーター・ゲート事件を長崎まで船賃を払って駆けつけ、スクリーンに釘づけの思い出がよみがえりました。 四季のコラムは(二編だけでしたが)忘れかけているマスコミの原点を、鋭く重くそして優しく教えてくれます。 いやマスコミだけでなく一般の人にも分かって欲しいものです。メディア、おまえは戦っているのか2

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