こぶれ 2022年1月号
2/20

       す         ツ    だ 2トラ年参上!トラ年ですか。十二支の年回りも早くなっているようで……。ちなみに筆者は竜タ、〝竜虎相うつ〟など天敵・最大のライバルみたいな言い方をされますが、物語、映画、お芝居の世界などでタツ・トラを主人公にしたものは数多いです。それだけに親近感もあり、自分の年回りみたいな気分もします。今の日本にトラは住んでいないが、昔からいなかったわけでもありません。トラの物と認定された犬歯などが栃木、静岡県から出土されています。大昔は日本と大陸は陸続き。朝鮮半島、旧満州(現中国)にトラが出没してもおかしくありません。ちなみにトラの居住地は東は中国、韓国から西はペルシャ、北はシベリア、南はマレー半島、スマトラ、ジャワと広範囲にわたっているようです。ヒマラヤでは海抜高度二千㍍付近で登山家も目撃したそうです。日本人はトラのことを古くから知っていたようで「万葉集」にトラの歌も二、三あります。興味があるのはトラと竜はどちらが強いのか。二者が闘うことは有り得ません。ならば百獣の王ライオンとトラはどちらが強いか。現実的問い掛けをしたくなります。動物学の世界的権威ライデッカーさんは、動物学者など多くの人たちの意見としてトラに歩ぶがあると言っています。たてがみのある雄おライオンは威風堂々として見えるし、その吠ほえる声もあたりを圧するが、どうやら吠ほえることの少ないトラに負けるらしい。ただ居住地など生息場所、攻撃手法など考えると公平でない部分もあるようです。さて日本へのトラの渡来。しわでのおみはてび膳か臣巴提便が百くら済に行き、退治してト欽明天皇の六年(西暦五四五年)にラの皮をはぎ取って持ち帰ったと日本書紀にあるのが最古の記録らしい。その後もトラの皮はたびたび日本に送られているが、トラのことを〝大虫〟とも言ったそうです。生きたトラの子が初めて渡来したのは宇多天皇の寛平二年(八九〇年)で巨勢金岡が模写した。誰もが知っているのが秀吉の朝鮮出兵の際のトラ狩りが有名で、その獲物は展覧されました。塩漬けのトラ肉を秀吉も賞味したと思われるが、グルメ時代の現代、気になり文献をあちこち探すが、どこにもない。どうやら「うまい」ものでなかったのかも知れないな。おせち料理に「おトラお肉」なんぞ祝膳としていかがなものか。つい正月の気安さでいらぬことを考えてしまいます。著・三軒茶屋ニコみどりの風

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る